戦慄と旋律、失踪と疾走のハードボイルド・ガールズラブ。 血の気多めでちょっと大人な、小説作品としての表現にこだわった一作。 『いくつもの名前(と顔)』を持つことになる主人公・伊月(樹)が、 仲間の少女たちと共に、居場所と安心を求めてその運命と戦う物語。 不器用でもカッコ良く生きる彼女たちの『情念』を見届けてください。 著者曰く「100%百合(と友情)で書かれた小説です」。 ※ストーリーは本書単体で完結しますが、『南雲栞の回顧録』の ネタバレを含む回答編的な作品です。(C94版に挿絵を追加した第2版)
海月が姿を消してから八雲伊月が終わるまで。 数十年にも思えた数年は、身も心にも傷と瘡蓋を残して。 名が体を表すと言うなら、わたしは本物のわたしへと近づいたのだろう。 あの夜、海月が愛した『わたし』は、もうどこにも見つけられなかったけれど。(P18)